こんにちは。
今回は、伊江島で伝統的な琉球パナマ帽の技法で編まれた「アダン葉帽子」や、伊江島の自然素材をつかったスタイリッシュな小物を手掛けている作家:屋嘉比りささんについて、ご紹介します。
1.地元素材を生かした工房「Kot’oli(ことり)」の誕生秘話
伊江村の東江前区に馬場通りという主要な道路がありますが、その通りに面したところに、瓦屋で、三角屋根のかわいらしい白い家があります。
そこで工房を構えているのが、伊江島出身の作家:屋嘉比りささんです。
工房には、地元の編み手が丹精込めて編んだアダン葉帽子の他に、クバの葉で作った籠などの民芸品が並んでいます。
その中でも、伝統的な琉球パナマ帽の技法で編まれた「アダン葉帽子」の上品なたたずまいに、目が釘付けになりました!
実は、屋嘉比さんが工房を構えるきっかけとなったのが、この「アダン葉帽子」だったのだそうです。
アダン葉帽子の虜になったのは5年前。
ボーシクマー講師の糸数弓子先生(宜野湾市在住)に、出会い、技術もさることながら先人たちの知恵や思いなど、大切なものを全て伝授してもらいました。
戦後、消えかけた島の宝物、アダン葉帽子が、糸数さんの手から島のボーシクマーの仲間に手渡されました。
地元、伊江島に残っていた琉球式技法のアダン葉帽子を仲間とともに丁寧に伝え発信し広げていきたい。
この工房がその拠点になれればと思う。
と、熱くお話してくださいました。
工房はこれからどのように展開されるのか、伺ってみると、
本格的に稼働するのは社会情勢が落ち着いてからと考えていますが、その時は自作の作品の他に島の手仕事仲間の作品も並べたいなと思っています。
また、自然素材を使ったワークショップを楽しんだり、島人が講師となって味噌を作ったり、地域に根差した伊江島ならではのワークショップ等も開催したいです。
と、時折目を潤ませながら夢を語る屋嘉比さん。
屋嘉比さんの情熱が伝わってきました…。
2.作家名「Kot’oli」に込められた想い
屋嘉比さんは、植物の持つ癒し効果やパワーに魅了され、3年前からKot’oli(ことり)という作家名でアダン葉や月桃など島に自生している植物などで帽子の他に小物、アクセサリーなどを制作しています。
「Kot’oli」という作家名は、
クリキンディという名前のハチドリが主人公の絵本「ハチドリのひとしずく」の中の一節で、
「私は私の出来る事をしているだけ」という主人公の言葉が心に残り名付けました。
クリキンディは、山火事を消すために一滴づつ水を運んでは火を消そうとします。周りの人が笑っても「私は私の出来る事をしているだけ」と水を運ぶのを止めませんでした。
ハチドリは体長10cmほどの小さな鳥なのですが、その行動力に感銘を受けました。
地域に根差した自然素材を使った作品や民芸品は、その土地の暮らしや歴史が刻まれた優しく味わい深いものになります。
それを暮らしの中に取り入れる事で、当たり前にある島の豊かな自然の風景が、宝物であり如何に素晴らしいかを知っていただきたい。そのきっかけづくりと種まきをしたい。
先人たちの知恵や工夫が詰まった手しごとの奥深さを『私は私に出来る事』として伝えていきたい。
と作家名に託した想いを話してくれました。
絵本の主人公に自分自身を重ねて「Kot’oli(ことり)」と名付けた、屋嘉比さんの優しい気持ちが感じられる素敵なお名前ですよね。
以上、「Kot’oli」さんの工房と誕生秘話について、いかがでしたでしょうか?
「Kot’oli」のインスタグラムでは、積極的にイベント出店や販売情報を発信されているので、ご興味ある方はぜひご覧になってみて下さい!