こんにちは。
今回は、伊江港の近くに位置する「阿良御嶽(あらうたき)」と「阿良の浜」について紹介します。
かつて阿良の浜は、島の玄関口として島外へ出る人の往来や荷物の積み下ろし等で活気に満ちた場所でした。
その向かいに面している御嶽が「阿良御嶽」で、旅の航海の無事を祈願する拝所です。
さっそく見ていきましょう!
1.航海の安全を見守る「阿良の御嶽」
御嶽とは、「うたき」と呼び、琉球の信仰における祭祀などを行う場所、聖地にあたります。
阿良御嶽には、旅立ちの時に立って見送る「タツガナシ」、船をサラサラと走らす「サラメキガナシ」という神が祀られています。
この御嶽には、鳥居が二つあります。
一つ目の鳥居をくぐり階段を上ると、二つ目の小さな鳥居があります。
その鳥居は石が積まれ独特な形をしています。
その鳥居の向こうに見える「城山(たっちゅー)」の姿は、まるで石の額に収まった様で神々しく見えます!
かつては、島を出る時はこの御嶽で旅の無事を祈願し、帰省するとプトゥチウグヮン(解き御願)をして感謝の気持ちを伝えていました。
2.香炉が二つあった話
ここで阿良の御嶽にまつわる逸話をご紹介します。
明治の初め頃、那覇の西町に黒砂糖の売買をしているシーペードゥンという商人がいました。
本名は塩谷(しおがい)といいました。
ある日、彼は、船を一隻借りて島に黒砂糖を買いに来たのですが、黒砂糖はすでに売り切れてしまっていました。
黒砂糖を買うために用意したお金を使わず持って帰って、渡久地港に着いて船の代金を払おうとしたところ、探してもお金が見つかりません。
実は島を立つ前に用を足した時、お金をサバニの傍に置き忘れてしまったのです!
彼は急いで島に引き返し、「どうかお金をお守りください」と阿良の御嶽に祈りました。
その後サバニの所に戻ってみると、お金はそっくりそのまま元の場所にありました。
「御嶽が守ってくれた」と感謝し、そのお礼に「塩谷」と「シーペードゥン」と書いた香炉を二つ奉納したそうです。
残念ながら今は香炉はありませんが、大正時代の頃まではあったようです。
3.阿良の浜は「砂持節」の縁の地
島に伝わる代表的な民謡「砂持節」の一番目に
阿良の浜砂やヨ 持てば禁止られて
たんで西泊ハイヨ 持たちたぼり
というが歌詞が出てきます。
その意味は
阿良の浜砂は持だしを禁止されているので、
どうか西泊の番人よ、砂を採ることを許してください。
という内容です。
伊江島では昔から農家が砂を副肥料として使っていました。
砂を持って行かれると岩層がむき出しになり、舟の揚げ下げの度に舟底が傷んでしまうので、阿良の浜の砂だけは、持ち出すのを禁じていたのです。
如何でしたか?
当時の人々の暮らしが垣間見えるような気がしますね。